治療法その1「血液透析」
「血液透析」とはどのような治療なのか
看護師として透析の仕事をするためには、透析治療の種類とそれぞれの治療内容についての知識が不可欠です。透析には「血液透析」と「腹膜透析」の2種類がありますが、ここでは血液透析に焦点を当てて考えてみましょう。
血液透析とは、透析専用の機械と患者を管でつないで血液を通し、毒素や水分をろ過してきれいになった血液を体内に戻すという治療方法です。日本の透析患者の9割以上が血液透析を選択しており、腎不全のメジャーな治療法として広く知られています。
透析治療を世界的観点で見ていくと、血液透析ではない方法がメジャーな治療法とされている国もあることがわかります。移植が広く普及しているような国では、血液透析は移植を行うまでの治療として認識されており、腹膜透析がメインの国もあります。
血液透析は週に2〜3回を生涯続ける治療
血液透析の治療頻度は、1週間のうち2〜3回です。1回の透析にかかる時間はおよそ4時間程度と長く、時間をかけてじっくりと血液を浄化していきます。透析治療は、大病院だけでなく腎臓を専門に扱う病院や小さなクリニックなどでも行われており、日本には4,000を超える透析施設があります。施設によっては、通院のための送迎を行っているところなどもあります。一度透析をはじめたら一生続けなければならないので、患者のライフスタイルに合わせて治療が続けやすい施設を選択することが、生活の質をより良くするという観点からも重要です。
血液透析によって血液が浄化される仕組みとは
血液透析では、体内の血液を機械の力を使って一度外部へと引き出し、血液をきれいに浄化してから再び体内に戻すといったことが繰り返されます。機械を使うと、1分間に200mlを超える血液を取り出すことができます。
機械へとつながる管は、利き腕とは反対の腕の手首付近に作成されたシャントを介します。シャントとは、局所麻酔による1〜2時間の手術によって作成されるもので、静脈と動脈をつないで太い静脈にしたもののことです。血液治療では、毎回シャントの部分に血を抜くための針と戻すための針をさします。
準備が整うと、血液ポンプでゆっくり血液が引き出され、徐々に速度を上げていきます。血液透析では、半透膜を介することによって余計なものがろ過されます。機械によって引き出された血液は、人工腎臓である「ダイアライザー」に流れ込み、この中で毒素や水分が除去します。ダイアライザーの出口で圧力をかけ、血液中の老廃物を除去することを「限外濾過」、血液中の老廃物や電解質が除去され、カルシウムなどが補充される状態を「拡散」と呼びます。